3. 自然になくなる放射能 ―半減期をはかる―
放射性核種はある一定の時間間隔でその原子数が半分づつ自発的に減っていきます.この時間を半減期といい,数μ秒という非常に短いものや,逆に45億年という非常に長いものもあります.ここでは,霧箱の実験で用いたマントルに含まれている212Biを化学分離し,放射能が減っていく様子を観察しましょう.
β線はGM(ガイガー・ミュラー)計数管を用いた測定器で測定します.気体中の電離作用を利用し,放射線との相互作用で生成したイオン(一次イオン)を高電圧をかける
(自然計数の測定)
1-1. 測定時間を10分に設定して,棚板のみ試料箱に置き測定を開始する.
(212Biの化学分離と測定)
2-1 活性炭粉末約2gをマントル6枚と共に容器に密封し,放置する.[準備してあります]
2-2 1:4 HNO3 50mlにBi(NO3)35H2O
100mgとPb(NO3)2 100mgを溶解し,加熱する.
2-3 2-2の硝酸溶液に2-1の活性炭粉末を加え,10分間撹拌する.
2-4 濾過して,活性炭を取り除く.
2-5 ろ液にTl+担体溶液を約1ml加える.
2-6 NaOH 12gを少しづつ加える.白色沈澱が生じるが再び溶解し,最後に黄色沈澱が残る.このときの時刻を記録すること.(溶解後,沈澱が生じなかった場合は,Bi(NO3)3をさらに100mg加え,よく撹拌する.黄色沈澱が生成したらそのときの時刻を記録すること.)
2-7 沈澱を吸引濾過する.沈澱を少量の1 mol/l NaOH溶液で洗浄する.
2-8 充分に水分を吸引した後,ろ紙を試料皿に糊ではる.
2-9 測定器で測定する.約1時間ほど測定を繰り返し続ける.測定開始時刻を記録すること.
a. 試料の正味計数率を沈殿生成後の経過時間に対して片対数グラフにプロットしてみましょう.
b. グラフから半減期を求めましょう.